しばらく副院長のブログが続いておりましたが、たまには院長もと言うことで、矯正治療の開始時期についての続きを書かせて頂きます。
前回は「第1期治療」の開始時期のお話をしましたが、今回は「第2期治療」の開始時期についてお話です。
「第2期治療」は“仕上げの治療”とも呼ばれるように、成長期の矯正治療における最終的な治療です。ですから、この治療が終了した時点で良いかみ合わせが完成され、それが将来に渡って安定していく事が目標となります。また、治療では、単に歯並びを整えるだけではなく、口元の審美性を整え、顔の外見がより美しくなる位置に歯を排列することが大切です。
そのために重要となってくるのが、治療開始のタイミングです。第2期治療の開始時期は、①親知らずを除く全ての永久歯(大人の歯)が生えそろい、②顎骨(あご)の成長の見極めがつき、③患者さん自身が治療の意義や必要性を理解できるようになる、概ね中学生終盤から高校生以降が望ましいと考えられます。
一見すると大人の歯並びとなった、12才や13才からでも仕上げの治療を開始することができるように感じられますが、上顎骨(上あご)と下顎骨(下あご)の成長の仕方が異なることと、これらの成長に著しい個体差があることから、問題を生じてしまうケースがあります。
一般的に、上顎骨は思春期の身長増加のピーク(女子で11歳頃、男子で13歳頃)を過ぎると成長がほぼ止まるのに対して、下顎骨はその後も成長を続け、女子で16歳頃、男子では18歳頃でほぼ終了します。そのため、あまりに早い段階で仕上げの治療を行ってしまうと、その後の顎骨の成長や第二大臼歯の萌出に伴って再び不正咬合が発現し、せっかく苦労して獲得した良いかみ合わせが崩壊してしまうことが少なくないのです。
ただし、不正咬合のタイプによっては、この下顎骨の旺盛な成長を積極的に利用したい場合もございますので、最終的には矯正歯科医の判断が必要となります。
成長期の矯正治療では、治療のタイミングを見極めずに治療を行いますと、治療期間の長期化や、それに伴う虫歯や歯肉炎のリスクの増加、不満足な治療結果を引き起こす可能性があります。前回と今回説明させて頂いた2段階に分けた治療を行うことで、適切な時期に効果的な治療を効率よく行うことが可能となります。
場合によっては、第1期治療から続けて第2期治療に移行したり、成長期の治療を行わず大人の治療で全ての問題を解決したりした方が良い場合もありますので、担当医から十分に説明を受けたうえで判断されるようお願い致します。
今日の担当は、院長でした。
浦和矯正歯科クリニック http://www.uoc.jp/
2009年9月26日