出っ歯は下の歯並びに対して上の歯並びが前に突出している状態で、医学的には「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と呼ばれます。出っ歯があると、力を入れないと口が閉じられ無いことがあります(口唇閉鎖不全)。ポカーンと口が開いているために口が乾きやすくなり、唾液の抗菌作用が不十分となって虫歯や歯周病を悪化させる因子となります。
主な原因としては、上顎骨の過成長や下顎骨の劣成長が挙げられ、それぞれによりアプローチする部位や治療のタイミングも大きく異なります。悪習癖が要因となることもあり、注意が必要です。
ここでは大人とこどもの出っ歯について説明していきます。
大人の出っ歯
骨の成長のない大人の場合には、前から4番目か5番目の小臼歯という歯を抜歯し、それによって生じた空隙に前歯を移動させ、歯並びや咬み合わせを良好な状態にします。同時に口元の突出感も改善されますので、審美的にも良好な結果が得られます。
現在ではインプラント矯正により小臼歯を抜歯せずに治療を行うことも可能となってきています。
こどもの出っ歯
多くの出っ歯の症例では、前歯だけに問題があるのではなく、上の歯並び全体が下の歯並びに対して前方に位置しています。旺盛なあごの成長がある、こどもの矯正治療では、あごの成長をコントロールすることで、問題のある骨格に直接アプローチする(顎整形効果)ことが可能です。そして、不調和の状態によって治療方法も異なっています。
- 上あごが前に出ていて、下あごの位置には問題が無い場合(上あごの過成長)
上あごの前方への成長を抑制する顎整形装置(ヘッドギア)を用いて治療を行います。 - 上あごの位置に問題が無く、下あごが後退している場合(下あごの劣成長)
下あごの成長を促進する機能的顎矯正装置を用いて治療を行います。 - 上顎が前方に出ていて、下あごが後退している場合
上あごの成長を抑制し、且つ下あごの成長を促進する複合的な装置を用いて治療を行います。